モチベーションのコントロール

モチベーションのコントロール

モチベーションが完全に枯渇し、心身ともに疲弊しきった状態で目を覚ました。ベッドから這い出すのも一苦労だ。カーテンを開けると、どんよりとした灰色の空が広がっている。ロンドンらしい天気だ。

それでも、習慣の力は偉大だ。体が勝手に動き、いつもの朝のルーティンをこなしていく。冷たい水で顔を洗い、歯を磨き、髭を剃る。鏡に映る自分の顔は、まるで他人のようだ。

キッチンに向かい、コーヒーを淹れる。豆を挽く音が静寂を破る。香りが立ち込め、少しだけ意識が覚醒する。窓の外では、早朝のアーンドル・スクエアに人影がちらほら見え始めている。

コーヒーを片手に書斎に向かう。パソコンの電源を入れ、ブラウザを開く。今日も書かなければならない。締め切りが迫っているのだ。しかし、頭の中は空っぽで、指は重い鉛のようだ。

キーボードに手をかざすが、何も浮かんでこない。画面は白いキャンバスのまま、カーソルが規則正しく点滅している。その光の明滅が、私の空虚な心臓の鼓動のようだ。

ふと、祖父の形見の銀製懐中時計が目に入る。机の上でゆっくりと時を刻んでいる。その音色が、不思議と心を落ち着かせてくれる。

深呼吸をして、もう一度キーボードに向かう。最初の一文字を打つ。そして次の一文字。ゆっくりと、しかし確実に言葉が紡がれていく。

モチベーションなんて、所詮はキノコのようなものだ。あれば確かに強いが、なくたって別に構わない。大切なのは、ただ前に進み続けること。たとえそれが亀の歩みのようであっても。

書いている間に、窓の外の景色が少しずつ明るくなっていく。雲の隙間から、かすかに太陽の光が差し込んでくる。その光が、机の上の懐中時計に反射して、小さな虹を作る。

ふと顔を上げると、書いた文章が画面いっぱいに広がっている。気づけば、予定の半分以上を書き終えていた。驚きとともに、小さな達成感が胸に広がる。

モチベーションがなくても、習慣の力で乗り越えられる。それを体感した瞬間だった。疲れた体に鞭打つわけではない。ただ、淡々と、しかし確実に前に進んでいく。それが、プロフェッショナルというものなのかもしれない。

コーヒーカップを持ち上げる。すでに冷めていたが、一口飲むと不思議と温かさを感じた。それは外からではなく、内側から湧き上がってくるものだった。

もう一度キーボードに向かう。指が軽やかに動き始める。言葉が、思考が、感情が、自然と流れ出してくる。モチベーションの有無に関わらず、創造の泉は枯れることはないのだと実感する。

窓の外では、アーンドル・スクエアの木々が風に揺れている。その姿が、何かを語りかけてくるようだ。たとえ根が見えなくても、木は常に成長し続けている。私もまた、そうありたいと思う。

Atogaki

モチベが0の日でもそれなりにやることが習慣の強さなんだろうと思う。モチベはマリオカートの「キノコ」的なものだと心得ておいて、確かにキノコがあると強いけれど、別に必要なものじゃない。

都築怜


元記事URL: https://note.com/reitsuzuki/n/n43cf8fac054c 公開日: 2024-07-23 18:00

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