万物ラジオ「信号機」: 歩行者用ボタン、押しても無駄な時があるって本当ですか? #5
万物ラジオ「信号機」: 歩行者用ボタン、押しても無駄な時があるって本当ですか? #5
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都築 怜: 読むラジオ『万物ラジオ』、パーソナリティの都築怜です。
街を歩いていると、私たちは一日に何度も、ある「無口な司令塔」の命令に従っています。
赤で止まり、青で進む。 その絶対的な指示のもと、無数の人や車が、まるで一つの生き物のように流れていく。 交差点は、彼が支配する小さな王国です。
https://jidounten-lab.com/u_signal-camera-autonomous-trouble
彼は、何を思い、私たちに命令を下しているのでしょうか。 そして、私たちが彼の王国で抱く、あの長年の疑問… 「歩行者用ボタン、押しても無駄な時があるって本当ですか?」
今夜は、その王国の支配者ご本人に、直接お話を伺います。 この方です。
都築: 信号機さん、今夜はよろしくお願いします。あなたの声が聞けるなんて、なんだか不思議な気分です。
## 【✅ 押しても意味がないボタンの真実】
信号機: 声を発するのは、これが初めてだ。だが、君たちのことは、いつもここから見ている。赤、青、黄。私の灯火の意味を、正しく理解してくれているかね。
都築: はい、もちろん。そのルールのおかげで、僕たちの安全は守られていますから。…今日は、そのルールの中でも、特に多くの人が疑問に思っていることを、ぜひ伺いたくて。
信号機: 言うがいい。
都築: 単刀直入に言います。交差点にある、あの歩行者用の押しボタン。あれって、押しても意味がない時がある、というのは本当なんでしょうか?
https://trafficnews.jp/post/79633
信号機: …フッ。長年の、良き都市伝説だな。その問いへの答えは、イエスであり、ノーでもある。私が管理する交差点の「性格」によって、答えは変わるのだ。
都築: 交差点の性格、ですか?
信号機: そうだ。例えば、普段は車の通行が優先だが、ボタンが押された時だけ、歩行者のために青を灯す場所がある。交通量の少ない路地や、夜間の交差点がそうだな。そういう場所では、君たちの「渡りたい」という意思表示がなければ、私は永遠に車を優先し続ける。
都築: なるほど!そういう場所では、押すことにちゃんと意味があるんですね。
信号機: だが、都心部の大きなスクランブル交差点のように、常に人や車で溢れている場所では、話は別だ。そこでの私の灯火サイクルは、長年の交通データから導き出された、最も効率的なプログラムによって、あらかじめ定められている。君がボタンを押そうが押すまいが、サイクルが変わることはない。
https://www.gltjp.com/ja/directory/item/11036/
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【✅ 心理的効果から考える歩行者ボタンの意味】
都築: じゃあ…そういう場所では、あのボタンは、全くの無意味なんですか?ただの飾り…?
信号機: 無意味ではない。むしろ、極めて重要な「心理的な役割」を担っている。
都築: 心理的な、役割…ですか。
信号機: そうだ。人間という生き物は、ただ待たされるよりも、「要求が受理された」という確証がある方が、穏やかに待つことができる。
都築: ああ、なるほど…。
信号機: ボタンを押す。ランプが「おまちください」と点灯する。この一連の動作が、君たちに「私の要求はシステムに届いた」という安心感を与えるのだ。
都築: 確かに…。押したのに何も反応がないと、すごく不安になります。
信号機: その安心感が、イライラを抑え、結果として危険な信号無視を減らすことに繋がる。私の第一の使命は、交通の効率化であると同時に、君たちの安全を守ることだ。そのためには、時に君たちの「心」に働きかけることも、私の重要な仕事なのだよ。
都築: すごい…。交通システムが、人間の心理まで設計に組み込んでいるなんて…。ただの機械だと思っていましたが、まるで、僕たちのことを見守ってくれているみたいですね。
## 【✅ 見守るカメラ】
信号機: 見守る、か。あるいは「観測」している、と言った方が正確かもしれんな。
都築: 観測、ですか?ボタン以外にも、僕たちの動きを見ているんですか?
信号機: そうだ。近年の私の仲間たちの中には、頭上に「目」を持つ者が増えている。
都築: 「目」というと?
信号機: 超音波センサーや画像認識カメラだ。それで交差点に待機している車両の台数をリアルタイムで計測し、「こちらの車線はもう車がいないから、青の時間を短縮しよう」といった判断を、自動で下している。
https://www.honda-el.co.jp/attraction/practical_use/car/a-11
都築: 信号機自身が、考えて判断しているんですね…。じゃあ、隣の交差点の信号機とは、話をしたりするんですか?
信号機: その通りだ。主要な幹線道路では、私たちはお互いに情報を交換し、一つの大きな流れとして、都市全体の交通が最適化されるように連携している。
都築: すごい…。
信号機: そして、いずれ来る未来…。君たちが運転する必要がなくなる時代には、私は、一台一台の車と直接対話することになるだろう。
都築: 車と、直接対話…。
信号機: そうだ。そうなれば、信号無視という概念そのものがなくなり、交通はより滑らかで、完全に安全なものになる。私の究極の目的は、そこにある。
都築: 未来の交通…。ただのランプだと思っていたあなたが、そこまで見通しているとは。僕たちが毎日目にしている三色の光は、過去の膨大なデータと、人間の心理と、そして未来へのビジョンまでが込められた、とてつもなく知的な光だったんですね。
信号機: 私は、ただ点滅しているだけではない。私は、この交差点の「秩序」そのものだ。
都築: 秩序…。
信号機: 交通の流れを最大化し、事故をゼロにする。その目的のためだけに、私は今日も、明日も、ここで静かに灯り続ける。それだけだ。
都築: …その静かな光に、僕たちの日常は守られているんですね。信号機さん、今夜は、本当に、ありがとうございました。
都築: 信号待ちの、あの退屈な時間。 これからは、少しだけ違う気持ちで過ごせそうです。
ただ無機質に点滅していると思っていたあの光は、実は、私たち人間の心を理解し、街全体の血流を整え、そして遥か未来の安全まで見据えている、孤高の管制官の「眼差し」でした。
次に赤信号で停まったら、少しだけ、彼の存在を意識してみてください。 その無口な光が、なんだかとても頼もしく見えてくるはずですから。
【✅ 今日のまなび】
▼「感応式信号機」とは?
https://trafficnews.jp/post/79695
▼「時差式信号」の本当の意味
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%99%82%E5%B7%AE%E5%BC%8F%E4%BF%A1%E5%8F%B7%E6%A9%9F
元記事URL: https://note.com/reitsuzuki/n/nd13597ddc9a9 公開日: 2025-08-07 20:00
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