円安なのに。

円安なのに。

窓から差し込む朝日に目を覚ましながら、私は深い溜息をついた。昨夜、遅くまでパブで飲んでいた後遺症だ。頭がズキズキと痛む。「まさか、もう禁煙して長いのに二日酔いとは」と思いながら、ゆっくりと体を起こす。

ベッドの横の小さなテーブルに置いてある祖父の銀製懐中時計を手に取る。7時15分。まだ少し時間がある。慌てずにすむ。しかし、ふと思い出した。今日は大切な日だった。Dr. Goldsteinとの定例ミーティングの日だ。

ベッドから這い出し、キッチンに向かう。コーヒーを淹れながら、窓の外のArundel Squareを眺める。朝のジョギングを楽しむ人々、犬の散歩をする近所の人たち。彼らの姿を見ていると、自分の不摂生が恥ずかしくなる。

「そうだ、HIITをやろう」と思い立つ。しかし、体が重い。昨夜の記憶が断片的に蘇る。友人に誘われてシガーバーに行ったこと。久しぶりの煙草の味。そして、その後のパブでの長話。

シャワーを浴びながら、自分の変化に気づく。以前の自分なら、こんな誘いは即座に断っていただろう。しかし昨夜は、すんなりと承諾していた。「新しいことに飢えているのかもしれない」そう思うと、少し心が軽くなる。

Dr. Goldsteinとの対話が頭をよぎる。彼なら何と言うだろうか。「人間の本質は変化にあり、それを恐れてはいけない」そんな言葉が聞こえてくるようだ。

服を選びながら、ふと昨日の光景が蘇る。深夜2時、疲れきって帰宅する自分。しかし、その疲労感の中にある種の充実感があったことを思い出す。

Portobello Roadを歩きながら、活気づく市場の匂いが鼻をくすぐる。昨夜の煙草の味が少し恋しくなる。しかし、それ以上に、この街の空気、人々の笑顔、そして自分の中に芽生えた新しい好奇心が心地良い。

Kings Collegeに到着し、Dr. Goldsteinのオフィスに向かう。ノックをしながら、昨夜の経験をどう話そうか考える。扉が開き、温かい笑顔で迎えられる。

「おや、Ichi。今日は少し違って見えるね」

その言葉に、私は少し照れながらも、昨夜の出来事を話し始める。HIITが辛くなってもいい。それ以上に、新しい体験への渇望が強くなっている自分がいる。

Dr. Goldsteinは静かに聞き終えると、ゆっくりと口を開いた。

「変化を恐れず、それでいて自分の核を失わない。それが真の成長だ。Ichi、君は今、その過程にいるのかもしれないね」

その言葉に、昨夜からずっと感じていた違和感が、すっと溶けていくのを感じた。帰り道、Regent’s Parkの緑を眺めながら、私は深く息を吸い込んだ。ロンドンの空気が、いつもより少し甘く感じられた。​​​​​​​​​​​​​​​​

Atogaki

めっきりタバコは吸わなくなった。HIITをやるようになってから、タバコを吸うと、翌日以降のHIITがどうも辛いのだ。だから禁煙したい人はHIITをやるといいと思う。痛い目に合うことがわかってる犬のようになれば、自分がやめずとも、何かの圧力がやめさせてくる。さて、先日友人にシガーバーに行かないか?と誘われて僕は即答で承諾した。最近、新しいことに飢えている。今まで旅行とか新しいことに挑戦することが好きじゃなかったのに。火曜にして深夜2:00に遊び疲れて帰るなんていう所業をやってのけてしまうのも別に、新しい体験が得られるならばとさして苦ではない。HIITが辛くなっても構わないほどに、コトを欲するようになっている。実にgood actionだ。

都築怜


元記事URL: https://note.com/reitsuzuki/n/nd971e848b6ac 公開日: 2024-08-07 18:00

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