夜を過ごした夜の話
夜を過ごした夜の話
朝もやの中、目を開けると、夢の残像が部屋に漂っているような気がした。窓から差し込む柔らかな光が、アーンドル・スクエアの木々を黄金色に染めている。ベッドから抜け出し、窓辺に立つと、小学校時代の同級生と、一度も会ったことのない斎藤飛鳥さんとの不思議な夢の記憶が鮮明に蘇る。
コーヒーを淹れながら、夢の中の三人の関係性を思い返す。豆を挽く音が静寂を破り、現実世界への扉を開くようだ。カップを手に取り、温かい液体が喉を通る瞬間、体が目覚めていくのを感じる。しかし、心はまだ夢の中にいるようだ。
ソファに腰掛け、Nakajimaが膝の上で丸くなる。彼の柔らかな毛並みを撫でながら、夢の中の親密さを思い出す。現実では全く接点のない人々が、夢の中では深いつながりを持っていた。その純粋さと美しさに、どこか切なさを覚える。
パソコンを開き、ブログの下書きを始める。指先がキーボードを叩く音が、静かな朝の空気を振るわせる。書きながら、夢の中の感覚を言葉に置き換えようとするが、うまくいかない。言葉では表現しきれない何かが、常に指の隙間からこぼれ落ちていく。
ふと、窓の外に目をやると、公園で犬の散歩をする人々の姿が見える。彼らの日常と、私の内なる世界。現実と夢。そのコントラストに、微妙な違和感を覚える。
The Rosemary Gardenに向かう道すがら、ロンドンの街並みが少しずつ目を覚ましていく。レンガ造りの建物が朝日に照らされ、温かみのある色合いを帯びていく。カフェに到着すると、いつもの窓際の席に腰を下ろす。エスプレッソの香りが鼻をくすぐる。
ノートを広げ、夢の記憶を書き留めようとする。しかし、ペンを持つ手が少し震えている。まるで、現実の自分と夢の中の自分が、同時に存在しているかのような感覚に襲われる。文字を綴りながら、その震えが少しずつ収まっていくのを感じる。
カフェの窓から外を眺めると、忙しなく行き交う人々の姿が目に入る。彼らもまた、夜に見た夢の余韻を引きずりながら、日常を生きているのだろうか。そう考えると、突然、強い孤独感と同時に、不思議な連帯感が湧いてくる。
ふと、隣のテーブルで新聞を読んでいる老紳士と目が合う。彼の目には、どこか懐かしさを感じさせる光があった。まるで、夢の中の誰かを思い出させるかのように。一瞬の交錯で、現実と夢の境界線がさらに曖昧になっていく。
カフェを後にし、ポートベロー・マーケットへと足を向ける。色とりどりの野菜、古書の山、ヴィンテージの洋服。それぞれが、夢の中の鮮やかな色彩を思い起こさせる。ふと立ち止まり、古い銀製の懐中時計を手に取る。その刻む音が、夢と現実の時間の流れの違いを感じさせる。
帰り道、ハイドパークの端を歩きながら、今日一日の出来事を振り返る。夢の中の三角関係の純粋さと、現実世界の複雑さ。その狭間で揺れ動く自分の心。そして、それらを言葉にしようともがく自分。全てが、不思議なハーモニーを奏でているようだ。
アパートに戻り、再びパソコンに向かう。しかし、画面に映る自分の顔が、どこか他人のように感じられる。夢の中の自分と、現実の自分。どちらが本当の自分なのか、もはや区別がつかない。そして、その区別自体が無意味なのかもしれないという思いが、静かに心に広がる。
窓の外では、夕暮れの空が紫色に染まっていく。Nakajimaが足元で鳴き、餌をねだる。その声が、現実への錨のように感じられる。彼に餌をやりながら、今日見た全ての風景が、昨夜の夢と溶け合っていくのを感じる。
ベッドに横たわり、目を閉じる。明日はまた、新たな夢と現実が交錯する一日が始まるのだろう。その境界線の曖昧さに、不安と期待が入り混じる。眠りに落ちる直前、夢の中の三人の笑顔が、まぶたの裏に浮かび上がる。それは、新たな物語の始まりを予感させるようだった。
Atogaki
かれこれ全く会ってない小学校の頃の同級生と、一度も会ったことがない斎藤飛鳥さんと3人で川の字になって寝る夢を見た。非常に親しげに話し、眠りにつく3人は本当に仲が良さそうで、その関係にいびつさや邪念は入る余地なく、本当に綺麗な正三角形だった。とても楽しい夜を過ごす夢を見た夜であった。
都築怜
元記事URL: https://note.com/reitsuzuki/n/n930e26a1fcb1 公開日: 2024-09-09 18:00
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