夜間の散歩道

夜間の散歩道

こんばんは、都築怜です。今宵も静かな時間が流れていますね。窓の外を見ると、街灯に照らされた木々の影が揺れています。夜の風は昼間と違って、何かを運んでくるような気がします。些細な物音も、夜になると不思議と心に残るものです。

日中は気づかないような音や香り、そして思考が、夜になるとふっと浮かび上がってくる。そんな時間の不思議さを感じることはありませんか。私は最近、夜の散歩を習慣にしています。昼間とは違う街の表情を眺めながら、ゆっくりと歩く時間は、小さな発見に溢れています。

今夜はそんな夜の散歩にぴったりの音楽からお送りします。ビル・エヴァンス「ワルツ・フォー・デビイ」。

https://open.spotify.com/track/49H4LDNFE5BU7ZMIg8UsZy?si=pYut6hngRfu57Zb7koduWw&context=spotify%3Aalbum%3A0MjlKhtsyax9HSWNkYaWM2

先日、古い写真アルバムを見ていたら、数年前の自分が写った一枚の写真を見つけました。その時の記憶は鮮明に覚えているのに、写真の中の自分が少し他人のように感じられて。時間というものは不思議ですね。私たちは常に変化しているのに、同時に同じ人間でもある。

過去の自分を見る時、どこか優しい気持ちになりませんか。「あの時はこんなことで悩んでいたんだな」とか、「こんなことを大切にしていたんだな」と。未来の自分も、今の私たちを見る時、きっと同じような気持ちになるのでしょう。

時には現在と過去、そして想像上の未来が重なり合うような瞬間があります。それは日常の何気ない風景の中でふとやってくる。そんな時間の重なりを感じさせてくれる一曲です。キース・ジャレット「マイ・ワイルド・アイリッシュ・ローズ」。

https://open.spotify.com/track/4LMG8I9yLA2NoyxeXDM38d?si=4pDXoCGKSUGwvesT_pj_1g

時々、都市の中でも時間が違う速さで流れている場所があることに気づきます。例えば、忙しい駅前と静かな公園。同じ空間なのに、全く異なる時間感覚を持っている。そして私たちは、その境界線を日常的に行き来しています。

先日、彼女と夕食を共にした後、ふらりと皇居の周りを歩いてみました。冬の終わりを告げる夜風が心地よく頬を撫でていきます。忙しく車が行き交う大通りと、悠久の時を刻む静かな城跡。その対照的な二つの空間の間に立つと、日常とは少し違う感覚に包まれるものです。

そんな不思議な感覚を味わいながら聴きたい一曲です。チック・コリア「クリスタル・サイレンス」。

https://open.spotify.com/track/5F8rPLt2c52p0SK7kiH26b?si=cLqatzazQBmj9n049ChSjQ

今宵のひとときです。

今宵の時間も、いつか振り返った時に「可愛らしかったな」と思える瞬間になるかもしれません。どうか皆さまの夜が、穏やかな余韻に包まれますように。

都築怜がお送りしました。また会いましょう。


2月末、一緒に夕食を食べた後で、皇居を散歩した。風のない、心地よい寒さだった。上着に包まれている部分は暖かく、外に出ている顔はひんやり冷たく、そのコントランスはまるで長野かどっかの温泉地で感じられるような心地良さと、きっと相違ないだろう。視界の右に広がるのは、幅の広い道路。車が悠々と僕らを通り過ぎて後ろに走っていく。左に広がるのは、まるで数百年前から時が止まったような沈黙、そして緊張感を保つ江戸城。両者の対照的な時間感覚に挟まれた1本の道に流れている時間は極めて普通なのであるが、状況ゆえに特別なことのように感じる。まるで、今の僕たちを象徴しているかのよう。散歩をしている途中、ふっと彼女が笑いながら「可愛い」と呟いた。聞くと、おじいちゃんおばあちゃんになった自分たちが今の私たちをみたらそう思うんだろうな、と。うん、確かにそう思う。可愛いんだろうな、きっと。

都築怜


元記事URL: https://note.com/reitsuzuki/n/nef608ab1fe7a 公開日: 2025-03-10 18:00

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