富士山の麓にある駐車場にて(後半)【初富士登山録vol.5】

富士山の麓にある駐車場にて(後半)【初富士登山録vol.5】

image ** 前回はこちら。

https://note.com/reitsuzuki/n/nf1d8c5c920bc

駐車場の入り口で料金を払い少し車を進めると、その先で何台か車が止まっていた。前方の車の様子を見やると、先頭車両を発見。先頭車両は一体何をしているのだろう。前方に向かって、大きく瞳孔を開く。すると、先頭車のドライバーさんに向かって、何やら大きな声で説明している人物が見えた。警備服のようなものを着ているあたり、この駐車場の管理人さんだろう。何やら駐車スペースに関する案内のようなものをしているようだった。

現在時刻は3時30分である。そんな時間から、立ち仕事で駐車場の管理人さんも大変であろう。大変なのはわかる。わかるからこそ、言いたい。この仕事も絶対にいらない。何か別のいい方法に変えた方がいい。なぜなら、この管理人さん、全ての車に対して一言一句変わらず、同じ説明をしていたのだったのだから。前方の車が残り3台くらいになったとき、窓を閉めていても聞こえてくる大きな声で気づいた。

「おはようございます!あのー今ですね、手前のA(仮称)とBのスペースが埋まってしまっていてですね、Cの部分しかないんですよ。なので、ここをぐるーっと回ってもらって、すると、Cのスペースがあるので、そこに停めてください。」

僕らの車が先頭車両になったとき、僕らは説明の全部を理解した状態で話を聞いていた。そんなこんなの駐車劇であった。一応、余談ですが、駐車スペース探しで、僕は友達とのちょっとした価値観のズレを感じた。友達がシャトルバスの発着所になるべく近い駐車スペースを求めようと努めていたのです。ちなみに僕は、もう少し手前で停めちゃうタイプ。

「もうこのあたりで良いんじゃないすか?」と僕。

「いや、ここだとバスの発着所から遠いんで」と友達。

彼は、ほぼほぼ止まっている駐車スペースのなかをノロノロ運転していた。別に、彼の行動が間違ってるとも思わないし、僕が正しいとも思っていない。ただ、その違いを違いとして認識しておくことは大事なことだと思う。違いを知ることは自分を知ることだから。結局、彼のおかげで、バスの発着所にものすごく近いところに停めることができた。

というか、友達本当に運転ありがとう。車を降りて、伸びをする。このとき体に取り込まれた空気、これがとても懐かしい匂いだった。高校生の頃に行った剣道部の合宿で、朝ランニングをするためにホテルから外に出たときに嗅いだ匂いだ。少しひんやりしている自然の匂い。空気が澄んでいて美味しいとか、よくいうが、僕はこの匂いのことなんだと思う。思わず僕は走りたくなった。

2人でトイレに行く。トイレからの帰り途中、シャトルバスのチケット販売のブースがあった。買ってから車に戻ろうかと思ったが、このブースの支払い方法は現金のみのようだった。そのとき、2人ともスマホしか持っていなかったので、一旦車に引き返す。ちなみにこのシャトルバス、往復でまぁまぁのお値段だった。

車に戻って、僕らは少し休むことにした。友達は目を瞑っていた。僕は100問の計算をした。4:00に僕らは荷物をまとめ、バスの発着所に向かった。発着所にはすでに10人ほど並んでいた。3人、3人、4人くらいの、どれもグループだった。前にいた4人のグループは、おそらく学生だろう。1人の男子が、(恐らく深夜テンションのままに)バス待ちの列から抜け出しては辺りを元気良く走り回っていた。僕は、前のキラキラに少し気まずさを覚えつつ、静かに友達と取り留めもない話をしていた。

10~15分ほど待っただろうか。バスがようやく到着した。このバス、勝手に想像していたサイズの倍くらいの大きさだった。観光バスにも、S・M・Lなんてサイズがあると思うが、これは紛れもなくXL。高速道路とかでたまに見かける「USJ行き」とか書いてある団体ツアー用のバス、みたいなバスだった。そのくらい大きなバスであったが、僕らの後ろには相当な人の数が並んでいる。結局、補助席を全部倒しても、そのときバスの発着所に並んでいた人は全員乗ることができなかった。

乗ってる荷物と人の数と、さぞかしこのバスは「重たい」と感じているんだろうな。踏み込むエンジンに対して、ゆっくりとバスが動き始めた。 いよいよ、5合目に向かう。 緊張感と高揚感、僕は膝の上に乗せていたバッグパックをもう一度、強く抱き締めた。


元記事URL: https://note.com/reitsuzuki/n/n31e8402e9eb4 公開日: 2023-09-18 18:00

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