睡眠

睡眠

目覚めは、いつもより穏やかだった。窓から差し込む柔らかな光が、部屋全体を優しく包み込んでいる。スマートウォッチを確認すると、昨夜は1時間47分の深い睡眠を記録していた。数字の向こうに、自分の意識が深い海に沈んでいく感覚を思い出す。

起き上がると、体が軽い。ここ最近、睡眠の質が変わってきたことを実感している。単なる休息ではなく、意識と無意識の境界を行き来するような、不思議な体験。それが、日中の私の在り方にも影響を与えているようだ。

アーンドル・スクエアの木々が、秋の装いを纏い始めている。一晩で少しずつ色を変える葉を眺めながら、ふと、人生における微細な変化の重要性を考える。睡眠の質を上げるために始めた小さな習慣が、思考の明晰さや創造性にまで影響を与えていることに気づく。

The Rosemary Gardenに向かう道すがら、秋の空気が肌を撫でる。深呼吸をすると、かすかにラベンダーの香りが漂ってくる。この香りは、夜の静寂と、その中で紡がれる夢を思い起こさせる。

カフェに到着し、いつもの窓際の席に座る。エスプレッソの苦みが、まだ残っている眠気を押し流していく。ノートPCを開き、ブログの原稿を書き始める。テーマは「意識の深層と創造性」。指が自然とキーボードを叩き、画面上に言葉が並んでいく。

「深い眠りの中で、私たちの意識は日常の制約から解放される。そこで生まれるイメージや感覚が、目覚めた後の創造性を刺激する。」

書きながら、昨夜見た夢の断片が蘇ってくる。論理では説明できない不思議な光景が、新たなアイデアのきっかけになっていることに気づく。

ふと顔を上げると、窓の外で忙しなく行き交う人々の姿が目に入る。彼らの中にも、夜の静寂の中で紡がれた夢や、深い眠りがもたらした洞察を胸に秘めている人がいるのだろうか。

昼食を軽く済ませた後、Dr. Goldsteinの研究室に向かう。彼の部屋に入ると、いつものように温かい紅茶の香りが迎えてくれる。「最近、睡眠と意識の関係について興味深い経験があったんです」と切り出すと、博士は目を輝かせて聞き入ってくれた。

「睡眠は、私たちの意識と無意識をつなぐ橋のようなものだね」とGoldstein博士。「特に、深いノンレム睡眠とレム睡眠の交替が、創造性や問題解決能力を高める。それは、脳が異なる処理モードを行き来することで、新しい連関を作り出すからなんだ。」

博士の言葉に、胸が高鳴る。自分の体験が、科学的な視点から解釈されることで、新たな意味を帯びていく。対話を重ねるうちに、質の高い睡眠を得ることが、単に健康のためだけでなく、より深い自己理解と創造的な生活を送るための鍵になるという確信が深まっていく。

夕暮れ時、ハイドパークを散歩しながら、今日の対話を反芻する。落ち葉を踏む音が、思考のリズムと呼応しているかのようだ。深い眠りと覚醒、意識と無意識。これらの境界を行き来することで、新たな気づきが生まれることを、身をもって感じている。

The Queen’s Foxに立ち寄り、静かにウイスキーを口に運ぶ。アイラモルトの煙っぽい香りが、今日一日の思考を凝縮させていくようだ。カウンターに座る常連客たちの会話が、遠くで波打つ海のように聞こえてくる。

家に戻り、夜のルーティンを始める。ラベンダーのアロマオイルを炊き、静かな音楽を流す。ベッドに横たわりながら、今日得た洞察が、明日の創造へとつながっていく予感がする。

目を閉じると、意識が少しずつ深みに沈んでいく。その過程で、現実と夢、論理と直感が交錯する不思議な空間が広がっていく。そこで生まれる新たなインスピレーションを楽しみに、私は静かに息を整えていった。明日はどんな目覚めが待っているだろうか。その期待を胸に、私は深い眠りの中へと沈んでいった。

Atogaki

今年から睡眠をトラッキングするようになって、多少わかってきたことが、睡眠の満足度に一番影響を与えているものが、「深い睡眠の時間」であるということ。ポイントは深い睡眠状態が、全体のなかで占める割合、ではないということ。具体的にいうと、1.5h程度、深い睡眠状態を経験した日の夜はかなり良い睡眠だったと言えるのである。

都築怜


元記事URL: https://note.com/reitsuzuki/n/ne6f73d60986c 公開日: 2024-08-22 18:00

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