絵本: ふたりのもり

絵本: ふたりのもり

ふたりのもり

むかしむかし、ひとつの森に、ちいさな木の家がありました。 その家に住んでいたのは、リスのリコと、ウサギのウタです。

リコはいつも、朝早く起きて、どんぐりを集めることが好きでした。 ウタは、森の草原で歌を歌うことが得意でした。

ある日、リコはウタに「一緒に暮らさない?」と聞きました。 ウタは「うん」と答えて、ふたりは同じ木の家で暮らし始めました。

最初はとても楽しかったのです。 リコはどんぐりを集め、ウタは歌を歌い、夕方には一緒にお茶を飲みました。

けれど、そのうち少しずつ変わっていきました。

「ウタ、今日はどこに行ったの? ずっと探していたよ」 「ただ草原で歌っていただけだよ」 「でも、いなくなるとこわいな…一緒にいてほしいな」

リコはウタが見えないと心配になりました。 そして、いつも「どこにいるの?」と聞くようになりました。

ウタも変わりました。 「リコ、どうしてそんなにたくさんのどんぐりを集めるの?」 「冬に備えてるんだよ」 「でも、もう山ほどあるじゃない。一緒に遊ぼうよ」

ウタはリコがどんぐり集めをするたび、不機嫌になりました。

そんなある日、森に大きな嵐がやってきました。 「この家は揺れるよ! こわいよ!」 ふたりは震えながら抱き合いました。

朝になって外に出ると、リコの大切などんぐりが風で飛ばされていました。 ウタの楽器も壊れていました。

「ぼくのどんぐり…」リコはしょんぼりしました。 「わたしの楽器…」ウタも悲しそうでした。

するとそこへ、森の賢者と呼ばれるフクロウがやってきました。

「困ったときには、自分の得意なことで助け合うといい」 フクロウはそう言って飛び去りました。

リコとウタは顔を見合わせました。 「どういう意味だろう?」

その日、リコはどんぐりを探しに行きました。 そして、いつもよりもっと遠くの場所まで探しに行きました。 すると、新しい木を見つけました。そこにはたくさんのどんぐりがなっていました。

リコは大喜びで、ウタに教えようと家に帰りました。 けれど、ウタはいませんでした。

夕方になって、ウタが帰ってきました。 手には新しい楽器を持っていました。

「どこに行ってたの?」リコが聞きました。 「新しい楽器を作るために、材料を探していたんだ」ウタが答えました。

「ぼくも新しいどんぐりの木を見つけたよ!」 リコは嬉しそうに言いました。

ウタは新しい楽器を見せました。 「これで歌が歌えるよ。聞いてほしいな」

リコはウタの歌を聴きました。とても美しい歌でした。 リコは「すごいね!」と言いました。

翌日、リコはウタを新しいどんぐりの木のところへ連れていきました。 「ここだよ! 見て!」

ウタは驚きました。「すごい! こんなにたくさん!」

リコが言いました。「ぼくはどんぐりを集めるのが得意だけど、 ウタの歌を聴くと、もっと元気が出るんだ」

ウタも言いました。「わたしは歌うのが好きだけど、 リコが見つけてくるどんぐりで、もっと良い音の楽器が作れるんだよ」

その日から、リコはどんぐり集めに行くとき、 「行ってくるね」と言うようになりました。 そして、新しい場所を見つけると、必ずウタに教えました。

ウタも歌の練習をするとき、 「少し練習してくるね」と言うようになりました。 そして、新しい歌ができると、必ずリコに聴かせました。

二人はそれぞれの得意なことを大切にしながら、 互いを応援するようになりました。

リコのどんぐり集めは、前よりももっと上手になりました。 遠くの場所まで行けるようになり、珍しいどんぐりも見つけられるようになりました。

ウタの歌も、前よりももっと美しくなりました。 森の動物たちが集まってくるほどでした。

ある夜、リコとウタは窓の外を見ていました。 「ねえ、ウタ。ぼくたち、前より強くなったね」 「そうだね、リコ。お互いを信じることができるようになったから」

窓の外では、星が優しく光っていました。 それは、ふたりの木の家を照らす、 とてもあたたかな光でした。

おわり

あとがき

2人が付き合うとき、相手の愛をもっと確かめたいと生じてしまう不安や心配といったマイナスの感情は、例えるならば、マズローの5段階の欲求階層説において、自身の生理的安全欲求が脅かされているようなものなのだと理解したい。相手に対する心配や不安が募り、やがてそれが行動となって表出してしまうとき、2人の行動は厳しく制限されるようになる。負の悪循環に陥る。ドロドロの連鎖。潰れ合う関係にもまた1つの美を見出すことはできるのだけれどサステナブルじゃないし、もう前にやって疲れた。誰かと付き合うとは、ものすごくシンプルな話、付き合った前と後で、自分がよりパワーアップするということだ。出世するとか、趣味の数が増えるとか、今ある趣味がより深められるとか。自身の掲げた目標、夢に着実に近づいていなければならない。そうでなければ意味がない。相手にとってもそうあるべきだ。極端な話、僕は相手に対して、自分と付き合うことで、その人の年収が毎年2倍になって欲しいのだ。これがポジティブな循環における、正しい「束縛」の形だ。もちろん愛があることは重要。マズローの階層の1番下にあるということは1番重要ということだ。


元記事URL: https://note.com/reitsuzuki/n/n6c4d529aca47 公開日: 2025-03-31 18:00

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