絵本「小さな船と海の約束」
絵本「小さな船と海の約束」
小さな船と海の約束
むかしむかし、小さな港町に一艘の小さな木の船がありました。名前はコナン。
コナンは、まだ一度も大海原に出たことがありませんでした。
「ぼくは小さいから、大きな波に飲まれてしまうかもしれない」 「深い海に沈んでしまうかもしれない」 「強い風に吹き飛ばされてしまうかもしれない」
そう思うと、コナンはいつも港の中でじっとしていました。
ある日、潮の香りを運ぶ優しい風が吹いてきました。 「こんにちは、コナン」
コナンが見上げると、輝く青い海が微笑んでいました。
「どうして港の中にずっといるの?外には広い世界があるよ」と海が尋ねました。
コナンは小さな声で答えました。 「ぼくは小さいし、弱いし、何も知らないから…」
海は静かに波打ちながら言いました。 「私の波があなたを支えるよ。出ておいで」
コナンは不安でした。 「でも、嵐が来たら?大きな波が来たら?」
「その時は、あなたを高く持ち上げるよ。私を信じて」
コナンはまだ迷っていました。 「本当に大丈夫?」
「あなたを待っている」と海は答え、そして引いていきました。
次の朝、コナンは勇気を出して港から少しだけ出てみることにしました。
最初の波が来たとき、コナンはこわくなって目を閉じました。でも、波はコナンを優しく持ち上げ、そっと下ろしてくれました。
「見て、怖くないでしょう?」と海が言いました。
コナンは少しずつ港から離れていきました。海は約束通り、コナンを支えてくれます。
日が経つにつれて、コナンは少しずつ遠くへ行けるようになりました。海の色が深くなり、風が強くなっても、もう怖くはありませんでした。
「ぼく、少し強くなったかな」とコナンは思いました。
ある日、空が急に暗くなりました。 「嵐が来るよ!早く港に戻って!」と他の船たちが叫びました。
でも、コナンは海を見つめました。 「大丈夫?」
「私を信じて」と海は応えました。
嵐がやってきました。風が吹き荒れ、雨が降り、波が高くなりました。
コナンは揺れに身を任せました。時には高く持ち上げられ、時には深く沈みそうになります。でも、不思議なことに、コナンの中に静かな強さが育っていました。
「ぼく、壊れない。折れない。沈まない」
嵐が過ぎ去ると、コナンはまだそこにいました。傷ついてはいましたが、沈んではいません。
「よくがんばったね」と海が褒めました。
「海のおかげだよ」とコナンは答えました。
「いいえ、あなた自身の強さよ」
その日から、コナンは遠くの島々へ旅をするようになりました。時には迷子になり、時には新しい港を見つけます。
ある夕暮れ、コナンが見たこともない美しい入江を見つけました。そこには珍しい貝や、輝く小石、見たこともない魚たちがいました。
「なんて素敵な場所なんだろう」
コナンはその美しい入江の地図を作ることにしました。
港に戻ると、コナンは他の船たちに話しました。 「素晴らしい場所を見つけたんだ。一緒に行かない?」
最初は誰も信じませんでした。でも、コナンが作った地図を見て、少しずつ興味を持つ船が現れました。
「本当にあるの?」 「行ってみたい」 「教えてよ」
コナンは喜んで案内しました。小さな船も、大きな船も、新しい船も、古い船も、みんなを美しい入江へと導きました。
入江を見た船たちの目は輝きました。 「すごい!」 「ありがとう、コナン」
やがて、コナンの見つけた入江は「コナンの入江」と呼ばれるようになりました。
船大工さんもコナンに気づきました。 「この小さな船は、大海原を渡れるんだな」
船大工さんはコナンを修理し、より頑丈に、より美しく作り直してくれました。
「あなたの中には、強さがあるね」と船大工さんは言いました。
年月が流れ、コナンはすっかり立派な船になりました。小さな体は少し大きくなり、帆は風をしっかりとらえられるようになりました。
そんなある日、港に真新しい小さな船がやってきました。その船は、かつてのコナンのように、こわごわと波を見ていました。
コナンは近づいて言いました。 「こんにちは。海は怖くないよ」
小さな船は驚いた様子で尋ねました。 「本当?でも波は高いし…」
「海は君を支えてくれる。信じてごらん」
コナンは小さな船を少しずつ港の外へ連れ出しました。
そして海に言いました。 「この子を、かつての僕のように守ってあげて」
海は静かに波打ちながら答えました。 「もちろん。そしてあなたが守ってあげて」
コナンは小さな船に航海の仕方を教えました。風の読み方、波の乗り方、星の見方を。
やがて小さな船も、自分の力で海を渡れるようになりました。
今では、コナンの見つけた入江には多くの船が訪れます。そして新しい船たちは、今度は自分たちで新しい入江や島を見つけ、また別の船たちに教えます。
コナンは今でも時々、海に問いかけます。 「ぼくを支えてくれてありがとう」
海は答えます。 「あなたこそ、私の波を信じてくれてありがとう」
二人の約束は、今も静かに続いています。
おわり
あとがき
例えば、付き合う人のことを自分の株主のようなものだと考えてみる。
その人は僕に愛という名の資金をフルベットしてくれている。じゃあ僕は何をするべきか。その人の愛を資本に入れることで、僕はより大きな「精神的な強さ」を資産に入れることができる。そして僕は、より大きく成長することができる。いや、成長しなければならない。こうしていつか実った果実を2人で分け合う。これこそがいただいた愛に報いるということだ。
付き合うと言ってくれたのだから、愛を差し出すと言ってくれたのだから、前を向く以外ないだろう。後ろを振り向いてそこに愛があるかをいちいち確認しているのはダサいこと極まりない。預金通帳ばかり確認していてもお金は増えない。精神的な強さを手にできない愛は愛じゃない。
この逆もまた然り。私もまた相手に愛をフルベットしているのだ。フルベットしている以上、相手の成長を心より応援せねばならないし、そのためのサポートを惜しんではならない。
元記事URL: https://note.com/reitsuzuki/n/n1e4320ffdd20 公開日: 2025-03-21 18:00
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