自分の文章を美しいと思いたくて。
自分の文章を美しいと思いたくて。
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この前、マスコミで働く友人に会った。
何かものを書くとき、「小学生にも伝わるように」を意識しているとのこと。
なるほど、さすが、”マス”コミュニケーションと言い切るだけあるなぁと。彼の言うのとは少し意味合いが違うのかもしれないが、僕もわかりやすさ、には気をつけているつもりです。
例えば、 ・ビジネスコミュニケーション ・資料作成 などの機会において、ネクストアクションに繋がる具体的な話を答えから話すことは、限られた時間のなかでより生産性を上げるために必要だから。
あと、僕には塾講師の経験もあります。 だから、「わかりやすさ is 神」だとは確かに思っていました。 中学生がわかる言葉だけで、数学を説明していました。
そして次第に、僕はその文章の質を「わかりやすいかどうか」を主軸にして測るようになりました。
例えば
・数字で定義を固め上げた言葉を使っているから良い文章。 ・誰もが知っている言葉を使っているから良い文章。 ・綺麗にロジックツリーが枝分かれ的に構造化されているから良い文章。
みたいに。
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でね、伝え方に関してそんな哲学を持つようになると、次第に受け取り方(読み方)までも「わかりやすく」理解しようとなってくるんですよ。 例えば、
・瞼が重い→”要は”、眠いのね ・月が綺麗ですね→”知ってる”、「I love you」でしょ。
みたいに。
自分のなかで全てのディティールは排除され、自分、あるいは自分が想像する多くの他人が持っている(であろう)知識の言葉だけで、その内容を受け止めようとするようになったのです。
気づけば小説や映画を見るのが嫌いになっている自分がいた。 そりゃそうだ。主人公が妹を助けるために鬼を倒す物語、だなんて言われたって、なんの面白味もない。 学生時代、僕が小説や映画にあまり触れてこなかった理由の1つ。
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そんな自分を大きく変える出来事がありました。 三島由紀夫さんの言わずと知れた名作、『仮面の告白』を読んだことです。
本当に衝撃が走りました。
文章があまりにも美しいのです。
なんといえば良いのでしょう。 僕のイメージですが、「わかりやすく、伝わりやすいみたいなビジネス語」というのは、なんだか言葉そのものが乾いていて色がなく、それでいて独房のように殺風景で閉鎖的な景色が広がっています。子供が定規で四角を書いたらできるような部屋、みたいな大変に簡単な文章。
対して、三島由紀夫さんの言葉には色や温度があって、こちらの読むスピード感までをもコントロールしてくる感じがある。 そして、一つ一つの言葉から漂ってくる情念がとても美しいのです。 一瞬を永遠に思わすかの如く、濃厚でひたむきな文章を読むと、「これぞ自分が描きたかった文章」だと思わせてくれるものがありました。
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仮に文章が車で、読者である自分がその車に乗っているとすると、三島由紀夫さんの文章は、ときにスーッと気持ちよく走ってくれたり、ときにはくねくねと道を曲がらせてみたり、みたいな感じなのです。 そして、時折フッと見せる外の景色はそれはそれは美しく、僕の手は止まり、その美しさにただただ浸っている時間が訪れるのです。 まるで景色の良いスポットを見つけたから、路肩に車を止めて、一息入れるように。
そして、確信しました。 「この文章はわかりにくいかもしれないけれど、質は明らかに高い」と。 それから、僕の文章の質に対する考え方がガラッと変わりました。
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こうして、「僕もこんな美しい文章が描けるようになりたい」と思い、僕はnoteを始めることにしました。
だから、僕はこのnoteで「わかりやすい」文章を書きたいんじゃないんです。そんなのは仕事のコミュニケーションのときだけで十分。
人がうっとりするような、一息つきたくなるような、そんな美しい言葉を紡げるようになりたいのです。 ピアノで美しい音色が奏でられるように、美しい言葉が紡げる人間になりたいのです。 だから、僕がどう思ったか、に徹底して注目をし、僕は僕の言葉を獲得したいのです。
補足ですが、これは決して「今僕が思って出てきた言葉に装飾を施す」という類の表面的な話ではありません。 僕の紡ぐ言葉そのものがダイヤモンドでありたい、という話です。
三島由紀夫さん、次第に政治的な主張も強く持つようになった方のようですが(その辺りは正直よくわかってない)、少なくとも彼が書いた作品については、僕はとても好きです。
元記事URL: https://note.com/reitsuzuki/n/n9a59a4a6a617 公開日: 2022-09-22 17:00
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