ボトルレターに焦がれて。

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僕はレターを書く。僕は、貴方がレターを読んだかどうかを知ることはできない。もし貴方が、僕の名前を添えてお返事を書けば、僕は読んだことを確認できる。でも貴方はそれができない。

なぜなら、僕は僕の名前を人質に取っているから。
なんでそんなことをしているのか、と言う話。

https://note.com/reitsuzuki/m/m9427bf6d581d

僕は、遠く離れた場所にいる貴方に手紙を書きます。

遠く離れた場所がどこにあるのか、僕は知りません。

手紙を貴方に届けることができません。

だから僕は、手紙を海に流します。

書いた手紙を空瓶に詰め、コルクでぎゅっと蓋をする。

海辺、テトラポットの上。

夕陽の光をめいいっぱい浴びている広いオレンジ色の海に向かって、僕は瓶を投げ入れます。

ぽしゃんと情けない音を立てるボトル。

波のなすがままに動くボトルが見えなくなるまで僕は見ています。

夕陽が沈む頃、小さくなったボトルがその最後の光を借りて、ダイヤモンドのような煌めきを一瞬放ちました。

その後、ボトルは見えなくなってしまいました。

ボトルがどこに向かうのか、わかりません。

一生誰の手に触れることなく、海の真ん中で漂っているだけかもしれません。

そしたらコルクはやがて腐り、瓶のなかに海水が入ってくる。

紙は微生物たちに分解されて跡形もなくなってしまう。

そして、瓶だけが深い海の底で長い間眠っていることでしょう。

ただ、もしかしたら、どこかの世界の岸辺にたどり着くかもしれません。

誰かが拾って、手紙を読んでくれることがあるかもしれない。

そのひとが、貴方かもしれない。

また、もし貴方が返事の手紙を書くとき、きっと貴方も「送り方」に困るはず。

だから、貴方も瓶に詰めて海に流すのです。

僕が生きている世界、それはそのボトルがどこかで漂流している世界です。

読まれていなくても良い。

返事が書かれていなくても良い。

ただ、この広い海は全ての可能性を抱きかかえてくれている。

それで良いのです。


元記事URL: https://note.com/reitsuzuki/n/na51191ea181f
公開日: 2023-09-19 18:00