この時間、何のご褒美かしら。

思いがけない夏の日差しに辺りが拍子抜けしている。

上がり切らない気温と湿度のなかで、車通りの無い新緑に包まれた道路を自転車で滑走している。これぞノンストレスな世界。あまりにも完璧すぎて、逆に細かいストレスを感じようとしている自分の矛盾にむず痒さを感じている。

最近、朝型生活が体に馴染んできて、用事や仕事は午前中のうちに済ましてしまうことが多くなった。今は土曜の朝8:30頃だが、土日も違わず朝早く起きるようになった。

この日の用事が意外と時間がかかって気づけばお昼前。

朝にヨーグルトと冷凍したブルーベリーを食べたきりで、お腹は多少空いてきたが、それよりも無性にカフェに行きたくなって、帰りの足で調べながらカフェに寄った。

このカフェが本当に素晴らしかった。

こじんまりとしたカフェだが、天井が高くて開放感を感じる。

大きなツリーハウスをコンセプトにしているようだった。

建物自体、緩やかな曲線をなしていて、大きな木に包まれていた。

中はまるでハウルの動く城のような、自然物と有り合わせの人工物を取り合わせて作ったような雰囲気だ。窓は大きく取られているが、近くに生えている木によって、遠くの道路や駅のロータリーなどが上品に遮断されている。ここは森の中だ。

大きすぎる時計は高い位置にあって、まるでこの森を見守っているかのように、外に向かっている。モルタルで塗られた壁には、配線のケーブルが蔦のように這っている。

その蔦にくくりつけるようにして、電球がぶら下がっている。

アルミのフライパンを逆にしたようなシェードに光を受けて、ぼんやりとテーブルを温めているようだ。

テーブルは、一枚板をそのままテーブルに使っているようで、手前の返が自然な波を打っているが、その面は綺麗に削られていてすべすべしている。

非常に落ち着く空間だ。僕は深呼吸をした。

完璧なまでの土曜日の午前中に、僕は「アイスコーヒー」の安全牌を取らなくても良いのではないか。何をしたって今日は”アタリ”なんじゃないかと思うようになった。

だから、初めてきたお店で普段だったら絶対にコーヒーを頼むところ、そのお店がオススメしていた「胡桃の紅茶」を頼むことにした。

それからの数十分間、僕はその日で最も幸せな時間を過ごすことになったのはもはや言うまでも無い。本当に、美味しかった。


元記事URL: https://note.com/reitsuzuki/n/n62014500c471
公開日: 2024-05-23 18:00