苦手な渋谷で3h暇を潰した話(Part.3)*ラスト

**
IKEAは行って良かった。
面白かった。

多少時間も潰れたので、用事のある場所に向かうことにした。
その道中、僕は苦手だった渋谷がちょっと好きになった。

https://note.com/tsukasa_ichinose/m/m9427bf6d581d

センター街を歩いていると、一人普通に歩いている男性が周囲の目を引いていた。
僕はPCに向かうとき以外は基本的に眼鏡をしないので、なぜ彼が注目を集めているのかはその距離2mくらいになるまでわからなかったが、接近したときは僕も周囲と同様、目を釘付けにしてしまった。

彼は紐を手に持ち、ペットを連れていた。
そのペットが「たわし」でできたネズミだったのです。
確かに、どうりで「しゃりしゃり」と音がするなとは思っていたのですが。
まさかたわしを引いて歩いている人に出会えるとは。

渋谷というのはなんて面白い街なんだ。
もちろん、人からの注目は集めていましたが、周囲の目も、本当に危険で避けるようにして怪しげなものを見る、というよりかは、好奇の匂いが漂っているような雰囲気で、彼を受け入れてはいたように見えた。「センター街」とも心地よく溶け合っていた。
彼はセンター街の普段の一部。
世界で共有されているスクランブル交差点に隣接している、というのにつながってはいない。
そこだけ結界が張られたような異常なカオス性を孕んだ空間だったんだと。
1つの町のなかにパキッとした間取りがある感じ、洋室を思わすような空間設計に仕上がった渋谷という町は確かに面白いなと思ったのでした。

センター街、という文字の入った門、みたいなやつを通って、スポッと僕は「世界」に出てきた。
門のあっちは「センター街」、こっちは「世界」。この門は鳥居だったんだ。

…あれ??

なにわ男子「初心LOVE」を爆音で流し、奇妙に体を揺らしている、細いおじさんがそこにいた。
スクランブル交差点の信号の脇、地下に続く階段の裏あたり。
あれ、貴方はこっちにいちゃいけないんじゃないの??
あっちの「センター街」の人なんじゃ??

いや、貴方は別にここにいていいんだ。
だって、あの「たわしおじさん」だって「世界」に生きていて、あの鳥居を潜ってセンター街に来たんだから。
渋谷という町がそもそもカオスだったんだ。

信号待ちの人たちも、彼とは柔らかく距離をとりながら丁寧に視線をそらしている。彼は彼で容認されているような距離感だった。
渋谷って思ったよりも自由なんだな。

苦手な渋谷で3h暇を潰した結果、少し渋谷が好きになった話、でした。


元記事URL: https://note.com/reitsuzuki/n/ncc2dd502a2ca
公開日: 2023-01-19 17:00