【無料】露天風呂、知らない子供に話しかけられた。

2019年、僕が実際に体験したエピソードを2020年になって書いた文章。

https://note.com/tsukasa_ichinose/m/m9427bf6d581d

緊急事態宣言が出ると温泉、サウナに行きづらくなりますねえ。
前は、結構な頻度で行ってたんですけどね。

サウナとか温泉は、デジタルに切断された環境で一人で考え事ができるのがすごい魅力で。
しかも、全員裸だから権力とか地位の差もへったくれもない。
PCを閉じてカフェで集中するというのとはわけが違う。

そんな僕が初めて知らん人に話しかけられた話。
そのとき僕はサウナ後のクールダウンがてら、温度のぬるーい露天風呂にいた。
季節は秋の終わり、上半身に当たる涼しい風と、足の暖かい感じがちょうど良い感じ。

***

僕の前には、1人男の子。
多分5歳くらいかなぁ、まだ小学生じゃないと思う。

1人で大人しく座ってるんすよ、お父さんとかは別の場所にいるのかな?

まぁそんなことはさておき、みたいな感じで僕は顔を俯かせながら、また自分の考え事に意識をフォーカスしていたんだけれど。

途中、なんか視線感じるなーと思ってパッと顔あげてみたら、その男の子が俺のことチラチラ見てくるんですんすよ。
"え、なんで?"
顔になんか変なのついてるのかなと拭ってみたけれど、別にそういうわけではない。

もういいや。僕は気にするのをやめようと、目を瞑って考えることにした。

ただなんだか集中できない。
お風呂場で視線を感じるなんてこと普通はないからね。
はぁ〜と息を吐きながら顔を俯かせ、自分のことに意識を向けようとする。

***

ふと、目を開けたら、目の前にその子供がいたんですよ。マジで。
いやこれね、伝えても嘘でしょって絶対言われると思うんですけどね。

目瞑ってる間に、グングン近づいてきていたみたいで。
目を開けたときには、もうマジで顔10cmくらいのところにその子の顔があったんですよ。
トトロの顔みるメイちゃんくらいの感じで。

めちゃくちゃびっくりして。
"え、この状況何?"
まず、どう対処したら良いのかがわからなかった。
僕は彼を見返すことしかできなかった。

視線を投げ返されたことを自覚した子供、
さらに顔を近づけて、僕にこう言い放ったのです。

子「ねえ、イーってして?」

"え、どゆこと?"
口を横にグイーって開けって言うんですよ。
子供が俺にやって見せてくれてる。
乳歯だらけやんけお前。

***

どうします?皆さんやります?
あのね、僕はやったよ。
「えー恥ずかしいよ」みたいな感じで断るシナリオもあったとは思うんだけれど、
ここでは、それに従順な方がロックな感じがしたというか。面白いと思ったから。
仕方なくイーってやったんすよ。

そしたら男の子は、顔を少し引き、何やら考え始めるんですよ。
眉を細めてめちゃくちゃ顎さする感じで。
つか、ちんこちっさ、小指の第一関節みたいなのぶら下げてるやん。

***

まぁいいや、そうして彼は僕にこう告げたんです。

子「どっかで見たことあるんだよなぁ」

"え、キミの顔を思い出す判断基準、「イーってした顔」なの?"

ワイ「あらそう?どこでみたことあるのかなぁ?」

なんて、つまらない返事を返す刀、
僕の相槌を丸無視して、別の話を彼は始めた。

子「僕ね、タイに行ったことがあってね。タイ語と英語で10まで言えるの」

ワイ「え!すごいね〜!!」

お父さんの出張の都合とかで、タイとかに住んだ経験でもあんのかなぁ?

子「10までいえる?僕は言えるよ」

ワイ「んーどうだろ難しそうだなぁ、わからない。なんていうんだろう?」

そりゃ英語は言えるけどさ、タイ語で10までは言えないじゃん。
ただ、その説明は子供には届かないと思うし、まぁこう返すわな。

そしたら、子供が軽い咳払いのあと
「あのね、」とタイ語で1から言い始めるんすよ。
途中つっかえながら、まぁ10まで言い切って。

ワイ「すごいねえ、知らなかったよー、教えてくれてありがとうね」

なんていうと、その子も喜んでくれて。
そんなこんなで、その子のお父さんらしい人が来てくれた。

父「ほら、お兄さんの邪魔しないで!すいません面倒見てもらっちゃって」

ワイ「あ、いえいえ全然〜」

なんて話をしながら。

このお父さんがまためちゃくちゃ良い感じなのよ。
早稲田の元ラガーマンで、今は商社マン勤務の35才です、みたいな感じの。

子供はパパに会えて大喜び。
「おうパパー」なんて言ってパパの元に駆けていくと、ヒョイっとお父さんに軽々と持ち上げられて去っていった。

少しびっくりしたけど、まぁ良い出会いだった。
またいつか会えたら良いね、なんて思いながら
僕は彼に「バイバイ」と手を振った。

したら、その男の子、何かを思い出したように、こっちを振り向き、突如ぼくに指差してこう言ったんです。

「まだ英語で10まで教えてない」

おい、クソガキこら。
声でかいねん。

周りのおっさんにくすくす笑われとるやんけ。
英語で10まで?知ってるに決まってるやろ。
こちとら100まで言えるわ。


元記事URL: https://note.com/reitsuzuki/n/n6647c427c446
公開日: 2022-08-24 17:00